化学メーカーの中でも一線を画する存在。
超優良メーカー信越化学。
信越化学は本当にすごい。
化学メーカーに勤めるものとしては、非常に気になる存在です。
魅力たっぷりで学ぶものもあるでしょう。
今更ながらピレンも調べてみましたよ、っと!
下記に紹介しますよ~
事業内容
まず事業内容から行きましょうね。
塩ビ、化成品、シリコーン、半導体シリコン、半導体レジストに携わる会社ですね。信越と言えば塩ビってイメージです。
その売上高内訳(2019/3)は塩ビ33%、半導体シリコン24%、電子機能材14%、化成品8%、サービス事業7%
塩ビ、半導体ウエハでは世界首位を誇っていますね。
会社の売上は1兆5000億と財閥化学には及ばないものの、
営業利益率25%超。
他の財閥化学が営業利益率4、5%でひいひい言っているのを横目に圧巻の数字をたたき出す。
さすが信越化学さんっ!かっけーよ、しびれるよ!
いやほんとに凄い、しびれるわあ・・・
※痺れるピレンの図
閑話休題。
さて、昔からすごいすごいと言われていますが、なにがすごいって瞬間的なだけでなく継続しているところがすごい。
13期連続の営業利益更新からの、2008リーマンショックを挟み、9期連続の営業利益更新で今に至っています。
ここまでの営業利益率更新。普通じゃない。
いったい何が秘訣なんですかね・・・。
設備投資も着実に行っています。
塩ビ
シンテック(ルイジアナ州生産、米国内中南米)が信越100%子会社であり、塩ビメーカーとして事業貢献しています。
塩ビは超安価な汎用プラで、技術的には何ら難しいことはない。
アメリカや中国参入メーカーも多かったが、淘汰が進んでいます。
日本は基礎製品は苦手で、エチレンプラントなど削減が進んでおり、高機能製品で勝負をするスタンスですね。
原料からの一貫生産体制を確立しているところが強みといわれています。
天然ガス⇒エチレンの生産
岩塩⇒塩素の生産
上記二つを合わせ、
エチレン+塩素⇒塩ビの生産ができます。
シェールガスといった、米国の有利な原料事情もあり、欧州でも好調なようですね。
すばらしい。
※基礎製品でも勝負できるのは素晴らしいわ!の図
化成品
ざっくり下記。
セルロース原料関連
医薬用製品好調
フェロモン、ポバール
電子機能材
ざっくり下記。
レアアース(金属、化合物、磁石合金)
ハイブリッド車用途
フォトレジスト(KrF、ArFレジスト)
金川千尋
さて、信越化学は強力なトップダウン体制ともいわれていますが、その体制を創っている金川千尋に注目しましょう。
経歴
彼は東大法学部、三井物産入社し、36歳で信越化学に転職しているようです。
ちなみに若いころはあまり勤勉でもなかったようですね。毎日のように酒を飲んでいたようです。東大に入っているのでもちろん優秀は優秀でしょうが。。
そして、50歳そこらで国内外の塩ビ事業を担当したらしいですね。
ううむ、当時の塩ビの売上率はわかりませんが、現在の売上率と同じくらい当時からあったならば、一任されたことは相当すごいですね。
ただし、この辺りは特別他の経営者と比較し早い出世というわけではなさそうでしょうか?
この年で、この事業レベルを一任される人は他の化学メーカーにもいるでしょう。私の感覚ですが。
その後1990年に64歳で代表取締役に就任。
そこから社内で改革を行い、13期連続の営業利益更新に貢献しています。
また、塩ビは安価な基礎品であるために、どこのメーカーがやっても差がつかないために、経営で差がつく分野です。
また、塩ビは汎用樹脂ですので、極論を言えば、どの会社がつくっても製品に大きな差は生じません。それゆえに、経営への取り組み次第で業績を上げることが可能となります。研究開発、製造、販売、調達、財務など、経営に関するあらゆる要素にしっかりと目配りし、市場の伸びをとらえて塩ビ事業を拡大して参りました。世界には数多くの塩ビメーカーがありますが、各社が好業績を続けているわけではありません。
当社の塩ビ事業が業績を伸ばしてきた理由について「製造プロセスが優れているからだ」と言われることがありますが、正鵠を射ていません。当社は1970年代に、塩ビの製造技術ライセンスをアメリカの塩ビメーカー2社に供与しましたが、両社とものちに事業売却しました。つまり、製造技術が優れているからといって事業が成功するわけではないのです。
Diamond quarterly online 2016 12 16より引用(diamond.jp/quarterly/articles/-/53)
合理的な性格
また、下記のようなことを実践しており、とにかく無駄のなさを追求したような印象を受けます。
・超素早い経営判断をする。なんと8割以上の案件を30秒で判断しています。
・本は一切読まない
・シンテック経営ではそもそもリストラ不要と言われるくらい少数精鋭体制確立
経営判断を迅速にし、本を読むくらいなら会社の成長を考えた方が良い、人員をつめたシンテックの経営モデル確立をする極限まで無駄を省いた超合理的人間。
ダウいわく、シンテックは人員が最小限すぎて最初からリストラされた会社とも評されています。
そういった人がトップにいるからこそ、末端社員にまで良い影響が波及し、会社としての爆発的成長を維持しているのでしょうか。。
金川千尋が社長になってから会議時間は1/3に短縮したらしいです。
昨今では長時間の残業は悪とされ、働き方改革が求められていますが、中々効果が出ている会社は多くないでしょう。
業務効率に対する強い意志、無駄を省くための強い意志が会社として根付いてはいないので、瞬間的にしか業務効率化せず、継続は難しいイメージです。
トップのせいにするつもりはありませんが、信越化学は絶対的な超合理的リーダーがいるから、より効率的な環境を作り出せるものではないでしょうか。
もちろん、他のメーカーと信越を定量的に比較をしているわけではありませんが。
日本が苦手とする基礎化学品で勝利を収めた信越の経営はもっと学ぶべきかと思いますが、他の化学メーカーがその経営を参考にしようとする動きはなければ、学ぼうとする意志もないように感じます。(言いすぎですかね・・・)
しかし、金川千尋は相当にチャレンジングな方ですね。あえて後発組で基礎品の塩ビに参入するとは。誰もやらないくらい難しいとこに参入しなければ勝ちはない、と考えてのことでしょうが。
いや、ほんと痺れる。しびれるわ~~~金川さん!
※痺れるピレンの図(二回目)
経営に必要な要素
経営者に必要な要素として4つ挙げています。
執行能力、決断力、判断力、先見性、とのこと。
後者二つは先天的で生まれ持った資質とも述べています。
金川の早くて正確な投資判断は、経験を積んで身に着けるのは難しい、ということですね。
企画、立案をしてシンテックを生み出したことや、塩ビに関する市況感、
シリコンウエハーの早い投資も先天的な能力に因るところもあると。
志望動機
さて、志望動機を考えましょう。
※志望動機は?ピレン子ちゃんがアンサー出すわよ!の図
ピレンが考えるなら、ということになりますが、
魅力に感じている信越のすごい点を挙げると、
①塩ビという日本が戦いづらい基礎製品で首位を上げている
②シリコンウエハといった高付加価値製品でも首位を上げる
③無駄を徹底的に省く精神が会社全体に浸透している
といったところでしょうか。
この辺りをまとめあげると、他の化学メーカーの志望動機とは異なり、オリジナリティーが出せるかと思います。
構成としては、例えば、
・自分の専門の化学を生かして人の役に立ちたい
・特に信越は基礎製品でも高付加価値製品でも業績を上げる力がある。これは他の化学メーカーにはない信越ならではの魅力
・そのレベルが高い環境で学びつつ、金川のように自分もチャレンジしていきたい
・また、シンテックや信越の歴史から徹底的に無駄を省く精神が感じられた。昨今の日本では業務効率化の流れもあるため、この点も他社に対して優位性があるように感じる
・だから私は信越が第一志望で最も入社したい
といった感じで考えます。
少なくともこれは私が心に思っていることであり、
この内容であれば、志望動機によくある形だけ取り繕って心が籠っていない問題は回避できるはず、と思います。
終わりに
信越の魅力と志望動機について紹介してみました。
参考になりましたら幸いです。
(自分の気持ちがこもった動機が一番大切です、それをお忘れなく!)
以上、【信越化学】 ~信越の魅力・トップダウン経営・志望動機を考える~、でした。
今日も化学が大好きです!
ピレン
ほかの化学企業の志望動機考察はこちら。
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https://www.youtube.com/watch?v=u4XHsQluCy8
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若いうちに勢いよく学び発信することが大事だと思っているのでガンガン行きたいと思います。
— ピレンちゃん@研究職_化学 (@pyrene_chemist) 2019年10月6日
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